Project of 航空機オペレーティング・リース 世界のエアラインのパートナーとして

機械カンパニー

佐藤正治

佐藤正治

機械カンパニー
プラント・船舶・航空機部門
航空宇宙部
航空第一課 課長

江島 亮

江島 亮

機械カンパニー
プラント・船舶・航空機部門
航空宇宙部
航空第一課

航空機リースビジネス。世界中から巨額の資金が流れ込むこの業界には、欧米各社の巨大リース会社など、名だたるプレーヤーが参入している。その中で伊藤忠は、最大の強みである“人間力”を武器に頭角を現し、現在は中堅どころとして確かな存在感を放っている。エアラインの頼れるパートナーであるばかりでなく、人の移動を通じて異文化交流を促す存在として社会に貢献する伊藤忠の航空機リースビジネス。その最前線で、文字通り世界を駆け巡って活躍する2人を紹介しよう。

狭くなった地球の
ビッグなビジネス

「海外出張ですか?去年は180日だったかなあ」。こともなげにそう語る江島亮。1年の半分以上は世界中を飛び回っていることになる。それを受けて佐藤正治が「乗り合わせた飛行機が満席なのを見ると、やっぱり嬉しいよね。オレたちがリースした飛行機を使って、遠くの家族や恋人が会い、ハッピーになれるんだから」と語る。それはまさに伊藤忠の企業理念である“豊かさを担う責任”に通じる言葉だ。伊藤忠が航空機のリースビジネスに乗り出したのは1970年代。90年代には、大手総合商社の中でもいち早くオペレーティング・リースという手法を導入した。これは伊藤忠自身が航空機を直接所有してエアラインにリースするというスキームのビジネスで、着実なリース収益が見込めること、リース期間満了後の転売によってキャピタルゲインも得られることなど、様々なメリットを期待できる手法であった。このオペレーティング・リースによって航空機業界全体が大きく盛り上がったわけだが、そこに冷水を浴びせたのが、あの「9.11」の米国同時多発テロ。その後の金融危機の影響など、業界が一時的に停滞することもあったが、LCC(格安航空会社)の台頭、原油コストの低下、新興国の台頭などにより、確実に成長し続けている。何よりもITの普及によって国境を越えたコミュニケーションやビジネスが当たり前となり、地球が一気に小さくなったことが、航空機へのニーズを押し上げたのである。「旅客数は年5%の割合で伸びており、現在、世界で約2万機飛んでいる飛行機が、今後15年で倍増するとみられています」(佐藤)。そのうちのおよそ4割がリース。エアラインは財務体質が案外脆弱なところが多いので、一機当たり数十億円の機体を手に入れるには、リースに依存せざるを得ないという事情もある。伊藤忠が手がける案件も2013年以降、飛躍的に伸びている。まさに大きな将来性が期待されるビジネスだ。

問われるのはスキームではない。
人間としての底力だ

世界を舞台にした航空機リースビジネス。皆さんは、さぞ華やかな業界をイメージするだろう。だがその最前線を体験している江島が言うには「ベタですよ。人脈がすべての、もうベタベタな営業の世界です」。ヨーロッパで、アジアで、有名エアラインが一堂に会してのカンファレンスがたびたび開かれる。佐藤と江島はカンファレンスの会場ホテルに出向き、会議終了後の解放感で賑わうバーへと潜り込む。営業のスタートはここからだ。エアフランス、ルフトハンザ、デルタ…。世界のそうそうたるエアラインの幹部がグラス片手に語り合うバーの中で、佐藤と江島はキーパーソンを探して声を掛けていく。当然、見知った顔も多い。「やあ、久しぶりだね」「その後、いい話はあるかな」「ちょっと隣の人を紹介してくれないか」。臆することなく2人はバーの中で声を掛け、軽いジョークも交えながら会話に加わり、人脈を広げていく。「もちろん競合も同じバーの中で、我々と同様に新たな人脈をつくることに必死です」。人懐っこそうな笑顔を浮かべて、江島はそう語る。言うまでもなくエアラインにとって航空機は最も重要なアセットである。借り受けるにしても、得体の知れない相手には借りをつくりたくないと考えて当然だ。だから、笑顔の裏には「こいつは信用できる人間か」という目が隠されている。このバーでの名刺交換は、そうしたシリアスな人間力の闘い。ちょっとした会話を通じて信頼を重ねていくのだ。「バーの立ち話で“あそこのエアラインは経営が危ないという噂がある”というような話がもらえることもあります。そうした関係づくりの第一歩が、こうしたバーでの出会いです」(江島)。

国境を越えた無駄足。
だが10年後にそれが活きてくる

バーでの立ち話をきっかけに手に入れた名刺を並べて、佐藤と江島は片っ端から電話をかけてアポを取る。人間関係の鉄則は、洋の東西を問わずフェイス・トゥ・フェイス。世界中を飛び回ってエアライン各社のキーパーソンと面会を重ねていく。目指すのは「入札にさせないこと」である。「入札に持ち込ませず、指名でリース契約が結べるようになるまで、何年もかけて信頼関係を深めていきます。今は無駄足であっても、10年後にはその無駄足が活きてくるかもしれない。そう信じて世界を飛び回っています」(江島)。「わずか30分のミーティングのためにスペインに行ったこともありました。そんなことの積み重ねです」(佐藤)。例えばある名門エアラインのケースだが、競合がリース契約の話を進めていたところに割り込むことに成功。定期的に何度も訪問して人脈をつくり「何かトラブルがあっても伊藤忠は決して背中を見せない」ということを知ってもらい、信頼を得ることに成功していた。その信頼を活かして巻き返しに挑み、見事に競合に勝って逆転成約となったことがあった。「たとえ入札になったとしても、こういう条件で入札が行われる、と事前に情報をくれるような関係をつくっていきます。江島は入社以来15年間リース一筋の男で、この業界でもよく知られており、“彼なら信頼できる”と評価されています」(佐藤)。

世界と闘うことでわかってくる、
日本人としてのアイデンティティ

リース条件はもちろんのこと、機体のメカニカルな情報や法律、税金など、航空機リースの契約は非常に複雑で、契約書も100ページを超えるのが当たり前だ。所有権移転の際は、国によって税制などが異なるため「公海上で」「フランス国内で」などの条件がつき、当該地域を飛行中のタイミングを狙って機体の売買が行われることもあるという。なんともスケールの大きなビジネスである。「どんな案件でも、スムーズに行くことはありません。絶対に途中でもめます。そんな時は互いに相手の文化を理解し、その上で喧嘩するわけです。だから本当に面白い。日本人の代表として世界で闘っていることが実感できる仕事です」。そんな江島の言葉を受けて、佐藤もこう続ける。「信頼関係が大切だと繰り返してきましたが、特に日本人は世界から“信頼できる相手”と見られています。もめても相手の話をちゃんと聞くし、約束したことは必ず守る。そんな日本人としてのアイデンティティを誇りに思います」。そして、どんな時でも逃げず、約束を必ず守れるのも、伊藤忠という会社が2人のチャレンジを「思い切りよくやれ」と後押ししてくれるからだ。その感謝を、彼らは忘れない。「実はこの業界で活躍する日本人はごく少ない。数えるほどしかいません。だから若手が活躍するチャンスが十分に広がっています。我々にとっても、一番足りないリソースが人材。ぜひ皆さんにもチャレンジしていただきたい」と、佐藤はメッセージを送ってくれた。

ひとりの商人、無数の使命