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Project BARU
(パナマ共和国 Ricard Pérez社M&A事業)
伊藤忠商事は2018年4月、在パナマ共和国のGrupo Corporativo Pérez S.A.(以下「GCP」)社が保有する、トヨタ・レクサス独占販売代理店Ricard Pérez S.A(以下「RPSA」)社の株式70%を取得し経営権を獲得した。自動車・建機・産機部門(以下、「自建産部門」)は2017年12月にモンゴルで販売代理店を設立しており、今回のパナマでの投資実行により2カ国でトヨタ独占販売代理店の経営に参画することとなった。RPSA社は1956年にトヨタ販売代理権を得て以来、20年超にわたりパナマ新車市場においてシェアNo.1の座を維持している優良企業。同社は世界に冠たるトヨタ・レクサスブランドのパナマにおける販売戦略やブランド戦略を実行する立場にいる。今回のプロジェクトは同部門の歴史において過去最大級の投資案件であることも加わり、社内から絶大な期待が寄せられた。「この好機を逃す手はない。必ず実現してみせる」と、意欲を燃やした荒谷。鈴木もまた、かつてないビッグプロジェクトへの参加に胸を膨らませたのである。
同プロジェクトの話が持ち上がったのは2016年12月。全社的な投資ポートフォリオの見直しの観点から、投資を実現するためには2017年度中に社内承認を得なければならなかった。しかし投資を行うに当たっては、対象会社の事業内容、法務、会計・財務、環境等の様々な面における調査のため、膨大なデータを入手・分析し、その結果に対してどのような対策を打つべきかを考える必要がある。投資後の将来計画やビジネス展開についても策定しなければならない。
そのタイムリミットは1年。荒谷と鈴木は時間との戦いを余儀なくされた。「今回がダメだったら次のチャンスはないというプレッシャーもあり、限られた時間内に求められる集中力・体力・気力は大変なものでした」(荒谷)。「最盛期は法務、財務、経理といった社内の職能部署ともタッグを組み、多種多様な外部の専門家も交えて毎日議論を重ねました」(鈴木)。何度も壁にぶち当たりつつも、幾度に亘る重要な会議を経て最終的に期限内に社内承認を突破することが出来たのである。
RPSA社の交渉窓口となるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、ニューヨークでM&Aを数多くこなしており、百戦錬磨だった。毎回の交渉が一筋縄ではいかないことを予想した荒谷は、いきなり伊藤忠商事側の条件をぶつけるようなことはしなかった。「経験値が全く違うし、理屈で勝負してもなかなか勝てないことが初めから分かっていたので、まずは自分という人間を信頼してもらう努力をしました」(荒谷)。その甲斐あって、いつしかFAの馴染みのレストランで飲食を共にしながら作戦会議ができるほどに。「荒谷さんは人心掌握が上手。お前が悩んでいるその部分はここだろ?そこは譲歩するから、こちらの条件は呑んでくれという感じで、どんどん相手の心を掴んでいました」(鈴木)。
かく言う鈴木は、過去に事業・リスクマネジメント部に所属していたことから数字に強く、会計分野に明るいだけでなく伊藤忠商事の社内処理やルールにも精通した存在。「どんなに複雑で根気を要する作業でも諦めずに粘り強くやり遂げてくれるんです。大らかな性格で、いつもチームのメンバーから頼りにされていました」(荒谷)。加えて、RPSA社は創業者Ricard Pérez氏が設立し、その後家族に経営権を引き継いできたファミリー企業。そのため、それぞれのRPSA社に対する想いや、そこで働く従業員、これまでに培ってきたコーポレートブランド等を尊重する必要があった。「正直、私たちが直接ファミリーと取引きしていたら収拾がつかなかったと思います。すべてを任されたFAの存在は非常に大きかったですね。」と、荒谷は当時を振り返る。
この道30年、世界中で多種多様な交渉相手と渡り合ってきた荒谷は、根っからの交渉好きだ。「失敗も多いけれど、やっぱりこの仕事は面白い。」現在、鈴木はモンゴルのプロジェクトに携わっている。「パナマでの荒谷さんの仕事ぶりを見て、交渉に対する考え方や臨み方を学びました。この経験を糧に将来的にはハードな交渉の場においても一人立ちできるようになりたいと思っています。」そんな鈴木に対して荒谷は、「もう一度同じようなプロジェクトがあれば躊躇なく鈴木さんを相棒に指名すると思います。パナマではサブと言う立場でしたが、モンゴルではリーダーとして活躍してほしいですね」と、エールを送る。
今後はパナマ政府、伊藤忠商事、RPSA社の3者間でタスクフォースを発足し、次世代化に積極的なRPSA社を中南米のモデルケースに発展させていく考えである。こうした取り組みによってパナマ国内でトヨタのブランド力が向上すれば、巡り巡ってRPSA社の業績に繋がる。3年、5年、10年後に向かって出来ることをフェーズ分けして事業を進めていくことに大きな夢があるのだという荒谷。「目の前の利益を追求するよりも、長期的な視野で実績を作りたい。当部門がかつてどの市場でも成し遂げたことのないチャレンジングな試みですが、本プロジェクトが導いてくれたこの好機を次の大きなやりがいのある目標にして、チーム一丸となって取り組んでいきます。」