ひとりの商人、無数の使命。商いの先に広がる豊かさを提供する。

社長メッセージ

2018年4月1日付で社長COOに就任した鈴木です。

まず簡単に自己紹介をさせてください。

私は理系(工学部)出身で、学生時代は航空機用のエンジンを専攻しました。同級生の多くがメーカーや研究開発機関に就職していきましたが、「作るより航空機を売る方が性に合う」と路線を変更しました。振り返ってみると、この決断は大正解だったと思っています。
当社に入社後は、好きな航空宇宙の知識を生かし、日本では未開拓だった宇宙ビジネスに着目し、当時始まったばかりの衛星打ち上げサービスの外国企業と契約を結ぶなど、新しいことに挑戦してきました。

伊藤忠アメリカ会社のCEOとして新しいビジネスの開発を目指しましたが、2008年にはリーマンショックを経験するなど経営の難しさも経験しました。そして、2011年6月に航空機部品や機内装備品を扱う株式会社ジャムコの副社長として着任した際も、その3ヶ月前に発生した東日本大震災で仙台の整備工場が被災し、復旧の目途も立たないほどの被害を受けましたが、「粘り強くやれば何とかなる」とのポジティブな志向で乗り切りました。翌2012年には同社社長に就任し、元々「良い会社」であった同社を「強い会社」にするべく、現場主義の徹底、明快な目標の付与などに務め、2015年には東証一部に上場させることができました。経営者として、度重なる困難に直面したことで、「どんな不確実な状況でも利益を出すのが真の経営者である」ということを胸に刻みました。

次にこれから私が社長として担うべき使命についてです。

当社は、ここ3年間、日本経済や世界経済の好調さもあり、最高益の更新が続いています。
その一方で、世の中は、すごいスピードで変化しています。AIやIoTといった次世代・新技術の活用、ネットとリアルの融合など、「第4次産業革命」とも言われるような大変化が起きています。世界の企業の時価総額を見ても、10年前はエクソンやGE、CITIグループが上位でしたが、今やApple、Google、Amazon、Microsoft、FacebookなどのIT企業が上位を占めています。日本でも、Amazonが台頭し、楽天やヤフーが苦戦するなど、卸や小売りも生き残りをかけて戦う時代になっています。

過去10年間、株価は2倍以上、税後利益も2倍以上と株主や社会にも誇れる結果を上げてきた当社も、これから先、同じ好調さを維持できる保証はどこにもありません。おそらく10年後には、企業の淘汰は更に進み、ネット企業がその業態をネット通販から物流、卸、そして決済・金融、保険といういわゆる商社が強みを持つ分野までカバーしているようになると、商社のビジネスモデルも大きな影響を受けることになります。従来の強い稼ぐ力も、新しいビジネスモデル、新しい収益源を作らないと、数年後には行き詰ってしまう可能性があるということです。

そこで当社の目下の命題は、旧態依然とした古いビジネスモデルは早急に「進化」させ、また、衰退していくであろう機能や産業分野の資産は入れ替えていくということです。良い時だからこそ、将来のことを考え、戦略を立て、それを実行に移す。それが私の使命です。

最後に就職活動をされている学生の皆さんへ。

商社の使命は、日本産業界の先兵として「一歩先を行く」こと、「果敢に挑戦し新たな価値を生み出す」ことです。製造設備もなく、研究開発部門があるわけでもない商社にあるものは「人」のみ。生み出すものは「知恵」と「新たなビジネス」です。

特に、総合商社の中でも、当社のDNAは「失敗しないことより、失敗しても起き上がることを良しとする」ことにあります。大きな発想の転換や思い切った選択をし、失敗をおそれず新しいものにチャレンジするのが当社の社風です。創業者である近江商人・伊藤忠兵衛が峠を越えて「持ち下り」を考案した昔から、民間初の通信衛星を打ち上げた80年代、ファミリーマートに投資した90年代、そして最近ではDoleや、CITICという中国への大きな投資も、全て総合商社初の事業でした。そして今、次のステージに向け、他社よりも一歩先に踏み出す時代が来ました。

学生の皆さん。たった一度きりの人生です。一歩でも二歩でも先を行き、社会に新しい価値を提供していく。新たな歴史を作っていく伊藤忠商事で、私と共に挑戦し、進化していこうではありませんか。

代表取締役社長 鈴木善久

ひとりの商人、無数の使命