代表取締役社長COOの石井です。

長らく続いたコロナ禍も収束し、ようやく日常生活が戻ってきました。しかしながら、このコロナ禍を契機に世界中で人々の生活様式や働き方も大きく変化し、消費者ニーズの多様化が加速しています。また、デジタル化や脱炭素化をはじめとする社会的ニーズも一段と高まっており、持続可能な社会実現に向け、企業活動においても中長期的視点に立った課題解決が求められています。

このような大転換期において、多くの産業と接点を持つ総合商社は日本の産業の先導役として重要な役割を担うものと考えています。当社は、行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」を常に心に留めながら、「マーケットイン」の視点で社会に新しい価値を提供し続けていきます。
近年、企業経営におけるSDGsの重要性が一段と高まりを見せていますが、その中で、たびたび「三方よし」という言葉が引用されます。「三方よし」は、売り手、買い手、世間の三方が共に満足すると言う共存共栄の考えにあり、当社の創業者である伊藤忠兵衛翁に代表される近江商人の経営哲学をルーツとする、当社の企業理念です。創業の精神として受け継がれ、未来へも受け継いでいく商いの心です。そして、この「三方よし」を実現するための行動指針が「ひとりの商人、無数の使命」です。
伊藤忠商事は、創業から165年を超えました。振り返れば、山あり、谷ありですが、いつの時代も、この企業理念と行動指針を大切に守り続けることが、伊藤忠商事の成長の原動力だと思います。

「商人は水であれ」。外部環境の変化とともに我々商人も変幻自在に変わらねばなりません。視野を広く、視点を高く、好奇心を持って世の中の変化を感じ取り、柔軟な発想で未来に挑戦していくことのできる、そのような次の伊藤忠商事を創り上げる商人と出会えることを期待しています。